2018年10月22日

783 グ ッ ド バ イ 2

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遙かに海を

 まさかあの何気ないグッドバイが、本当のグッドバイになるなんて、おそらく誰も思わなかったはずだった。風の国から帰った翌日の月曜日の朝、風の国のお母さんから突然の電話があった。その日は、お母さんが病院に行く日だった。


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昼の月

 電話は、畑に野菜をとりに単車で出かけたお父さんが、岡の川で倒れていて、救急車で運ばれたというものであった。救急車という言葉に少し驚いたが、倒れて骨折でもしたのかも知れないと考えた。あまり焦ることもなく、風の国に向かった。途中、救急車は、八幡浜の市立病院に向かっているという連絡があった。


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不思議な虹

 高速を降りて、宇和を走っている時、急いで来るようにという連絡が、お母さんから届いた。何だか胸騒ぎがしてきた。骨折ではなく、頭でも打ったのかも知れないと思う。しかし、いつもヘルメットをかぶっているお父さんなので、大丈夫だと、心を静めようとした。

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梶谷鼻

 病院に着いてみると、お父さんは、救急処置室からまだ、出ていないということだった。途中、生命維持装置を外すかどうか、続けても、戻らないのだという情報も入って来た。岡の川で倒れていた時、ぬくもりはあったが、実は、心肺停止の状態で発見されたらしい。結局、病院では、蘇生の可能性が既になかったようだ。警察が検死を行ったり、風の国の現場検証をしたり、病院に着いても、6時間以上お父さんの顔を見ることはできなかった。



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お通夜

 我々以外にも、弟(長男)夫婦などが病院に集まり、様々、警察の事情聴取をされて、お父さんは、とうとう、葬儀社の車で帰宅することになってしまった。何ということだ。帰宅して、夕方からは、情報を得た弔問客の方々が、たくさんやって来られた。お通夜は翌日行われることになり、お父さんの兄弟、大阪の親戚の方々が、駆けつけてこられた。


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葬儀

 葬儀は、水曜日に八幡浜の葬儀場で行われることになったが、葬儀場の事情や火葬場の事情で、葬儀の前に火葬にして、葬儀場に向かうこととなった。しかし、いくら考えても、目の前で進んでいることが、どうにも信じられない。前日、一緒に採った蜜柑を運んだり、普段のように元気なお父さんだったのだから・・・。


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葬儀場の絨毯(じゅうたん)

 今年になってのお父さんは、あまり畑に行かなくなり、もっぱら風呂焚きなどの仕事に専念することが多くなっていた。病院の先生によると、お父さんの死因は、心不全による突然死であった可能性が高いということであった。

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思い出

 お父さんは、5〜6年前に前立腺ガンで、松山の病院に通い始めた。その前から、蜜柑山で一緒に仕事をしてきたので、前立腺にヨウ素カプセルを入れた後、お父さんの元気が以前よりなくなってきたのを、感じていた。数値が良くなり、また、元気が戻るだろうと思っていたのだが、・・・。


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畑から海と家を望む

 お父さんは、夜間無呼吸症候群の治療をされていた。私も、無呼吸で、時々、畑で原因不明の心臓のハタハタを経験している。無呼吸は、心不全のリスクを高めると聞いたことがある。1分も2分も呼吸が止まると、当然、体は酸欠状態になるだろう。すると、じわじわと内臓などがダメージを受けていくらしい。


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ぽっかり雲

 この最近は、主な仕事が、風呂を焚くことと海を眺めることになっていたお父さんは、元気な頃、高い蜜柑の木にも軽々と登り、枝の先で安定した仕事をしておられた。手足が痺れて、しかも、力がない私などは、はなから木に登ることなどは、あきらめている根性なしで、お父さんとは、雲泥の差だった。ふと、単車で走っているお父さんや、軽々と蜜柑の木の高いところで作業している姿や、岡の川で掃除をしている姿や、海を眺めている姿が、はっきりと目に浮かぶ。
posted by tentijin at 23:48| 愛媛 ☀| Comment(4) | 随想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
訃報、驚きました。ご愁傷様です・・・癌の治療で松山に行ったこと、行き帰りの景色、観光等々。そして風の国のお手伝いの記録・・・すべて、現実のことです。亡くなられたことが非現実であればと思うばかりでしょう。働き過ぎて、ゆっくり休みなさいということかもしれませんね。
Posted by 鬼城 at 2018年10月23日 07:54
鬼城様
 考えてみれば、前の日まで元気で、寝込むこともなく、あっという間に逝ってしまったお父さんは、ピンピンコロリなので、本人的には、理想的な最期だったのかも知れません。しかし、周りは、あまりにも急なお別れで、びっくりし、まだ、そこいらにおられるような気がしています。
Posted by tentijin at 2018年10月23日 17:51
 優しいお人柄の風の国のお父さん、このブログを通じてですが私はファンでした。
 こんなに突然に逝かれるなんて、皆さんもお寂しいことです。私も寂しいです。
 お悔やみ申し上げます。
 前回の記事は今回のお別れを惜しむ出来事だったのではとさえ思えます。
Posted by 吉野の食いしんぼう at 2018年10月23日 22:01
吉野の食いしんぼう様
 お父さんやお母さんの力になればというお手伝いでしたが、お父さんの代わりにとか、お母さんを支えるとかいう意味合いに転がっていってしまいました。ともあれ、何かしらお役に立てればと思っています。前日の帰りがけの出来事は、不思議な最期のお別れだった気がします。
Posted by tentijin at 2018年10月24日 08:27
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